今回は、2020年6月12日〜6月14日の3日間に渡って行われた、ロンドンファッションウィークデジタル(以下、LFW)についてプロがどのように評価したのか解説していきます。
私は、2020年10月よりロンドン芸術大学に留学予定の学生です。
そんなプロでも知識が0でもない私が、今回のLFWについて多くのリサーチをし、ファッション業界に従事されている、いわゆるプロの方々が今回のLFWについてどのような評価をしていたのかということをわかりやすく伝えたいと思います。
プロがどのようにファッションコレクションを評価しているのか知ることで、自分でコレクションを見るときの軸となります。
今回のLFW概要
2020年6月12日〜14日の日程で、オンライン上で様々なブランドによるショーの他、アーカイブピースやカプセルコレクションが映像などを交えて披露されました。
本来であれば、この日程でロンドン・メンズ・ファッションウィークが開催される予定でしたが、新型コロナウイルの影響によりオンラインプラットフォームを用いた形に変更となりました。
詳細はこちらご覧になれます:London Fashion Week Digital 2020
今回のロックダウンの影響により生産が遅れたブランドなども多く、全てのブランドが新しいクリエーションを発表するというわけにはいきませんでした。
そのため、普段は見ることのできない様々な業種のアーティストによるトークショーやパフォーマンス、また、セレクトショップ による映像作品なども多く見られました。
総評

さて、このような事態の中で行われたロンドンファッションウィークはプロの目から見たときどのように映ったのでしょうか?
私が見る限りは賛否がはっきりと分かれているようでした。
とあるメディアでは、「素晴らしい試みであった」とされている一方でSNSなどの反響を見れば「控えめに言っても悲惨」などと評されており、見る人や立場によって意見が分かれているように見えました。
パリやミラノ、ニューヨークに先駆けて初のデジタル上でのファッションウィークを行ったために評価が二分されるのは仕方ないことだと思います。
加えて、このような黎明期において、評価が二分されるというのは至極当然の事かと思われます。
評価された点

各メディアでまず評価されていた点として、他の都市に先駆けてオンラインでプラットフォームを構築しコレクションを開催した点であるといえます。
そもそもロンドンには比較的若手のデザイナーが中心となり、多様性を認め様々な新たな試みを取り入れていく姿勢があります。
今回のLFWでは、そんなロンドンらしさを表現できたとしてメディアでは評価されていたように思えます。
2点目として、これまでバイヤーやプレスなどいわゆるプロの方に向けられて行われていたファッションウィークですが、今回は一般の方に向けてもこれが開かれたという点では評価されていました。
これまでであれば、我々のような一般顧客層は、メディアを通してコレクションを楽しむことしかできなかったですが(但し超お得意様やインフルエンサーは別)今回はプロの方であっても一般の方であっても同じタイミングでコンテンツを享受することになりました。
これにより、各ブランドの世界観であったりファッションに関係する要素を身近に感じることができたと思います。
3点目に、通常のコレクションとは違う視点から世界観やコンセプトを打ち出すブランドが多く今までとは違う目線からブランドを楽しむことができた点が挙げられます。
上記の通り、今回全てのブランドが通常通りの新たなコレクションを発表したわけではありません。
ブランドによっては、デザイナーのインタビューであったりコンセプトムービーのような映像を発表しました。
これにより、いつもとは違った視点からブランドの面白さや世界観を楽しむことができたと思います。
そのような中で、評価の高かったものをいくつかご紹介します。
reM’Ade(リメイド)
Marques Almeida(マルケス・アルメイダ)という過去にLVMHプライズの受賞歴もあるポルトガル出身のデザイナーによる新ブランドのreM’Ade。
彼女がロックダウン期間中に母国のポルトガルで生活している中で、過去のストックを使用し新作を発表しました。
今回改めて強く意識させたれたサスティナブルというキーワードにマッチしたクリエーションで、これからのデザイナーが意識すべき点を抑えた映像として評価を受けていました。
GR8
東京のセレクトショップ GR8による、日本とロンドンが融合されたような映像作品は、日本らしさと多くのロンドンブランドをサポートするGR8だからこそ出来た作品として評価を受けていました。
Farfetch(China)やXANDER ZHOUなどの中国系
今回は、各所で中国系デザイナーによる試みが高い評価を受けている印象がありました。
中でも、FarfetchとXANDER ZHOUによる映像はそれぞれ別ジャンルではあるものの今回のデジタルファッションウィークをうまく活用しているように見えました。
普段なかなか聞くことのできない、デザイナーによる思いやコンセプトをインタビュー形式で発表しました。
最近、益々評価を受けているXANDER ZHOU。洋服のディティールが分かりやすく表現されていました。
評価されなかった点

ただ、初めての試み故に評価には値しない点も多々あったようです。
初の試みであったことを踏まえても、プラットフォームの見づらさや一般層に開たにも関わらず、アピール不足が見られるといった声がありました。
また、バイヤーやプレスの方からすると素材感やシルエットに関してはまだまだ分かりづらく、デザイナーとのコミュニケーションが取れないことが問題点として挙げられていました。
私の感想
私も一顧客として今回のLFWをとても楽しみにしていました。
やはり他に先駆けて準備時間が短い中で行った今回のLFWには一定の評価が与えられるべきかと思います。
ただ、やはり評価されなかった点でも挙げた通り、見づらさという点は否めないと感じました。
いつ何が行われるのかが分かりづらく、見たいブランドにたどり着くまでに時間がかかり、それに加え一本の映像で30分超の映像もあり正直見る気にはなれないブランドもありました。
そもそも、一般層にも楽しんでもらうように設計されていたのかさえ疑問に感じました。
その一方で普段は見れないデザイナーの顔であったりデザイナー自身によるトークには面白さを感じました。
また、各ブランドのブランドらしさが出ていた点では面白いと感じました。
また、ロンドンに限らずパリ、ミラノなどでもデジタルファッションウィークが行われますが、デジタル上でそれらの都市の特性を生かすことができるのか、それともファッションウィークにおいて都市という概念は関係なくなっていくのかという点でも注目されていくと思います。
まとめ
今回は、2020年6月に行われたロンドン・ファッション・ウィーク・デジタルをプロがどのように評価したのかということについて解説しました。
プロの評価を元に是非ご自身の目でも楽しんでみてください。
今回のロンドン・ファッション・ウィーク・デジタルはこちらから見ることができます。
今日のポイントは3点です。
・他の都市に先駆けて短い準備時間でデジタルファッションウィークを開催した点では評価
・見づらさや分かりづらさは否めない
・今後のファッションウィークにも期待
今後も、ファッションに関する情報を一般目線で解説していきます。