【解説】ファッションを通して考える本質的なサスティナビリティとは?

【解説】ファッションを通して考える本質的なサスティナビリティとは?

タイトルがお堅い感じになってしまいましたが、今回はファッションを通してサスティナビリティとは何かということについて解説していきたいと思います。

 

かく言う私は、昨年からサスティナブルファッションについてリサーチし始め2020年10月よりサスティナブルファッションにおいて業界を牽引するLondon College of Fashionに留学予定です。

 

もちろんリサーチには奮励しますが、業界に従事しているプロフェッショナルと言う訳でないため、当然知識不足が見られます。その点、ご理解下さい。

 

そのため、ここでは一消費者として、個人が考えるべきサスティナビリティについてご紹介します。

サスティナビリティという言葉の意味

そもそも、サスティナビリティという言葉が表す意味とな何でしょうか?

 

「サステナビリティ」(sustainability)とは、「持続可能性」または「持続することができる」という意味。サステナビリティへの取り組みというとき、何を“持続する”のかというと、その対象は広く社会と地球環境全般を指します。本来は、自然と共生する持続可能な社会システムを目指す環境保護思想のキーワードで、国連の「環境と開発に関する世界委員会」が、1987年に公表した最終報告書に「Sustainable Development」(持続可能な発展)という理念を謳ったことから広く認知されるようになりました。近年、企業の社会的責任(CSR)の視点からも、サステナビリティへの取り組みに高い関心が集まっています。

日本の人事部

 

これまでであれば、個人が好きなモノを好きなように消費しそれが当たり前でした。

そのため、多くの人は地球への負荷を考えずに消費してきました。

 

しかし、次第に世の中にモノが溢れるようになると、単なる機能的な商品よりも、顧客を満足させられるようなサービスが求められるようになりました。

多くの人がこのような消費の仕方ではいけないということに気付き、自分たちが住む地球への配慮を考慮するようになったのです。

 

 

  

これは、マーケティングの世界でも同様の動きが見られます。

フィリップ・コトラーは書籍『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』(朝日新聞出版,2010年9月)でマーケティング3.0という概念を示しました。

 

 

マーケティング3.0とは簡単に言うと「世界をより良い場所にすること」を目的としています。

消費者はもはやダーゲットとして企業にコントロールされる受動的な存在ではなく、自ら世界をより良い場所にしようと活動し、自身が共感した企業やサービスと信頼関係を構築し商品を協業する「価値主導」の時代が到来しました。

 

 

 

つまり、サスティナビリティとは地球環境への負担を考慮した活動全般指します。

サスティナビリティの本質的な意味とは

 

私はここで個人消費者目線でのサスティナビリティを、「ひとりひとりが地球環境へ配慮をして活動し、社会に貢献すること」としたいと思います。

 

 

その意義とは、我々全員に責任があることを認め、これまでよりいい社会を築くことにあると考えます。

 

個人の力では限界があります。しかし、個人の力やひとりひとりの意識がないと世界はいつまで経っても変われません。

 

 

このまま人口増加が進めば、2050年の需要に応えるには地球2.3個分が必要であると言われています。

 

もはやこれらは無視できるような問題ではありません。

知らないで済まされる話ではなくなったからこそ、責任を認め、少しでも考え、行動することが求められているのではないかと思います。

エシカル消費との違い

サスティナビリティという言葉が広く浸透する中で、世の中ではエシカル消費という言葉も叫ばれるようになりました。

 

エシカルとは、『倫理的な・道徳的な』という意味です。

エシカル消費とは、製造に携わる全ての人に不利益や理不尽な労働を強制しないフェアな商品やサービスを消費していくことを表します。

 

 

 

つまり、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けて、サスティナブルな社会を実現するために消費者ができることの一つなのです。

 

参考:消費者のためのアクションガイド

ファッション業界における現状

これまでは、概念的な意味でのサスティナビリティについて見てきました。

 

それでは、具体的にファッション業界ではどのようなことが起きているのでしょうか?

 

廃棄問題

 

2009年の中小企業基盤整備機構の調査によると、1年間の供給量が約111万トンであるのに対して、1年間の総排出量(捨てられた量)は94万トンとなっています。

 

また、アメリカでは、布の廃棄物は1年間で1100万トンにも及ぶと言われています。

 

また、2018年度の経済産業省の調査によると

国内のアパレル市場規模は、バブル期の15兆円から10兆円程度に減少する一方、供給量は20億点から40億点程度へと、ほぼ倍増している。

繊維産業の課題と経済産業省の取組
経済産業省製造産業局生活製品課(平成30年6月)

とも言われています。

 

つまり、需要に対して、供給過多となり、しかもそのほとんどが数回着ただけで廃棄されている現状があります

 

 

汚染問題

 

廃棄問題に加えて、汚染問題も存在します。

 

8割以上の衣料の原料は石油から由来するプラスティックの一種です。

そのため、ファッション産業は石油産業に次いで、世界2位の環境汚染の原因ともなっています。

 

 

輸入依存

 

現在、国内市場における衣類の輸入浸透率は97%まで増加しています。

 

出典:経済産業省(参考資料)

 

 

また、その多くは中国やベトナムなど東アジアや東南アジアの国々からの輸入です。

 

出典:日本繊維輸入組合

 

MADE IN JAPANは衰退し、世の中に出回る衣料品のほとんどは、人件費の安い、東アジアや東南アジア諸国で製造されています。

原因

これらの原因を一つに限定することはできません。

 

ファッション業界はとても大きく、複雑に絡み合っています

現在、世界の6人に1人は何かしらの形でファッション産業に従事しているとも言われています。最も労働者に依存した産業の一つです。

 

 

 

その中でも、とりわけ大きな原因の一つがファストファッションの台頭です。

 

皆さんも容易に想像することができると思いますが、現在世の中の洋服はファストファッションで溢れかえり、SNSを見れば様々な有名人からインフルエンサーまでファストファッションを使ったコーディネートを日々投稿しています。

 

 

より多くの人が簡単にファッションを楽しめるようになった一方で、ファストファッションは大きな問題も抱えています

 

ファストファッション企業の多くは、コストを最小限にするために人件費を抑えようとします。上記の通り、現在日本で流通する衣類の97%は輸入に依存しています。

 

 

これによる問題として、労働環境の悪さが挙げられます。

例えば、2013年にはバングラデシュの郊外ダッカで多くの製法工場が入った商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊し、死者1,134名、負傷者2500名以上を出す惨事が起きました。

 

参考

 

この事件が起きる前、従業員はこのビルの安全性に問題があることに既に気づいていましたが、経営陣はそれを無視し問題はないと主張しました。その上、工場に戻らなければ解雇の可能性があると話しました。

 

この責任は、工場のオーナーだけでなくその工場に委託した企業側にも責任があると言えます。

 

防げたはずの事件、守れたはずの命を犠牲にしてまで、安い服を手に入れたいでしょうか?

しかし、皮肉にも彼らがリスクを負うことでファッション企業の利益は上がり、実際この事件の翌年には衣服製造産業の利益は過去最高を記録しました。

 

 

また、ファストファッションの台頭によりとてつもない量の洋服が市場に出回り、同時に消費者の嗜好が多様化することでトレンドは細分化されます。

それにより、余った衣類が廃棄され地球が汚染されていきます。

 

 

 

また、もう一つの大きな原因としてファッション業界の不透明性が挙げられます。

ファストファッションに限らず、私たちはその服がどこで誰によって作られたのかについて知ることは難しいです。

また、その服の原材料がどこでどのように作られたのかについては知る由もありません。

 

 

 

WWD JAPAN(2019年11月25日発行)vol. 2114のサスティナブルファッション特集にてケイト・フレッチャー氏(ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション教授)は以下のように語っています。

第一の問題は、業界が”業績拡大の論理”に基づいていること。現在のシステムは、コミュニティーや土壌、労働者の健康ではなく、業績を成長させることに最適化されている。この単一の論理に基づいたシステムを、他に優先させるべき点や注目すべき点などを加えたものに置き換える必要がある。それでも産業や資本主義は残るが、そればかりが優先させることはなくなるだろう。  

サステナブルファッション2019「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」

 

これらから言えることとして、やはり単純に一つの回答はないのです。

解決策はあるのか?

 

私が考える解決策の一つとしては、まずは全員がこの問題について「知ること」が大切なのではないかと思います。

 

我々、一消費者のアクションひとつで全てを解決することは不可能です。

しかし、我々の意識の変革がない限りこれらの問題が解決されることもないでしょう。

 

 

そして、今すぐにできることとして、「知る」ということ以外に自分のワードローブを見直すということが挙げられます。

 

私の場合、洋服を購入する際

本当にその洋服を一生大切にできるか」と問いかけます。

その答えがYesであれば私は洋服を購入しますし、もしNoであったり迷ったりするときは購入しません。

そのため、一着一着に思い入れがあります

 

実際、私がデザイナーズブランドの洋服が好きになってからは、洋服を捨てたことも売ったこともありません。

私が、ファストファッションを購入しない理由の一つは、そこで買った洋服を一生大切にできる自信がないからです。

デザイナーの洋服にはひとつひとつにその人の思いやアイディアが込められている(と信じています)ため、私はそのデザイナーやブランドに対して敬意を込めて対価としてのお金を支払います。

 

それくらい考えて、吟味して買った洋服を「飽きた」という理由で捨てることはできませんし、否が応でも大切にするようになるのではないでしょうか?

 

 

誰でもできることです。洋服を購入する際に一度だけでいいので「本当にその洋服を大切にできるか」と考えてみてほしいです。

  

 

同じくWWD JAPAN(2019年11月25日発行)vol. 2114にて、有識者が以下のような回答をしているため参考として掲載させていただきます。

 

「唯一の方法は、循環型社会の確立」(セシリア・ストロンブラド・ブランステン=H&Mヘネス・アンド・マウリッツ環境サスティナビリティ・マネジャー兼サーキュラーエコノミー・リード)

 

「一つ一つの問題に関して深く考えていくことが必要だ。例えば、循環型の仕組みにははまらない合成繊維を使うべきではないのは明らかだが、天然繊維だったとしても、コットンの栽培には水が大量に必要だし、農地も必要。ほとんどが農薬も肥料も使う。モノによっては合成繊維よりも環境に悪い可能性もある。仕組みや状況に合うパズルを見つけてうまくはめていくイメージで取り組むことが必要」(キーラン・ジョーンズ セント・マーチン美術大学MAマテリアル・フューチャーズ主任教授)

サステナブルファッション2019「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」

 

各企業はサスティナブルな社会を実現するために、様々な企業努力を行っています。

そのため、企業による循環型経済実現のための施策であったり、二次流通の流行など、以前に比べれば世の中の意識は変わってきています。

 

 

 

しかし、それでもまだ技術が追いつかないため完全な循環型社会の実現には届きません。

 

 

そうした中で、我々消費者ができることは

現状について知ること、そして少しずつ行動を改めていくことなのではないでしょうか?

より詳しく知るために

ここまで、私が今までにリサーチしてきた知識や理解を元に一方的に意見を述べてきました。

しかし、これら全てでサスティナビリティについて包括的に理解することは不可能です。

 

そこで、より深く知りたいと思っていただいた方のためにいくつか参考となる資料や映画をご紹介します。

※これらの参考資料を元にご自身で更なる理解を深めていただければ幸いです。

 

ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償

 

ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償

 

こちらの映画は、我々が普段知ることの出来ない服を製造する人々に焦点を充てたドキュメンタリー映画です。

 

 

実際にこの映画を見て私はとてつもない衝撃を覚えました。

 

正直、とても露骨なシーンを含みショッキングな内容が含まれます。

それでも、この問題から目を背けることは出来ないし、もう見てみぬふりはいけないことだと思います。

 

 

この映画が定義する「服に対して本当にコストを支払っているのは誰か」ということを考えるきっかけにもなり、とても胸に刺さりました。

ぜひ一度は見ていただきたいです。

こちらの映画は以前Amazon Primeで配信されていたのですが、現在はDVD/Blu-rayのみとなっています。

 


The True Cost [DVD] [Import]

スローイング・ダウン ファストファッション

 

スローイング・ダウン ファストファッション

 

こちらの映画も同様に、現在ファッション業界で起きている問題からサスティナビリティとはということを定義したドキュメンタリー映画です。

 

ファストファッション産業に焦点を充て、とてもわかりやすく解説した内容となっています。

長さも65分ととても短く、内容もわかりやすく解説されているため、非常に見やすい映画です。

 

トゥルーコストが現場のリアルを伝えるために描いた映画であるのに対してこの映画主人公の男の人と一緒に理解していくよう内容となっています。

 

私としては、どちらも見てほしいところですが、軽く見ることができるのはこちらの映画だと思います。

また、こちらの映画は現在Amazon Primeでも配信されているためサクッと見ることができます。

 

WWD JAPAN

 

これまでも、いくつかWWD JAPANの記事を引用してきましたがWWD JAPANでは積極的にサスティナビリティについての記事を発行しています。

 

紙面の購読は一冊¥500と有料になりますが、もちろんその価値はありますし、Web上でも様々な無料記事を配信しています。

 

WWD JAPAN

まとめ

 

今回は、とても長い記事になってしまいましたがこの記事を通して少しでもサスティナビリティに対する意識を持っていただけたらと思います。

 

もちろん私もサスティナブルな社会実現に向けて完璧な行動ができているわけではありません。

まだまだ知らなければいけないことがたくさんあります。

 

この記事を読んで初めて知った方であればこれを機により理解を深めていただきたいですし、既に知っていたり何か行動している方であればそれを広めていっていただければと思います。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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